クレーターに関する異端論

 今日では、クレーターは隕石の衝突によってできたとする説が有力である。確かに、いくつかのクレーターについては、そう言えそうである。だが、すべてのクレーターがこの定説によって説明できるかというと、それは疑わしい。
 その理由は、非常に多くのクレーターが、驚くほど美しい真円に近い形をしているからである。こうした美しい形状の構造物が自然界で作り出される確率は、一時期話題になった火星の人面岩のそれよりは高いだろうが、それでも極めて低いといわざるを得ない。
 真円のクレーターが隕石の衝突によってできるためには、まず、隕石の形状が球のような対称形でなくてはならない。だが、現実の隕石は、大抵、歪な非対称形をなしている。
 また、隕石は、等方均質な性質を持っていなければならない。さらに、衝突される星の大地も、やはり、等方均質な性質を持っていなければならない。こんな条件が、はたして満たされるのだろうか?
 さらに、隕石の衝突を受ければ、かなりの衝撃があるはずである。それによって生じた地震で、周囲の構造物(すでにあったクレーター)も、崩れてしまう可能性がある。
 また、衝突の度合いによっては、地割れが生じることも考えられる。クレーターの中には非常にサイズの大きなものがある。あれだけのクレーターを生じせしめる隕石が衝突したのなら、地割れの一つぐらいは見つかってもいいはずだ。だが、今のところ、そうした地割れは発見されていない。
 加えて、隕石が衝突なり爆発なりをすれば、大量の粉塵が舞い上がるはずである。それが地上に降り積もれば、すでにあった地上の構造物(クレーター)は、埋もれてしまう可能性がある。
 以上のことを考えると、隕石衝突説も万能ではないことがわかるだろう。では、他にどんな説が考えられるだろうか?
 奇才ヴェリコフスキーがおもしろい説を唱えている。それは、『バブル崩壊説』である。(ただし、この名前は、私が勝手に付けたものである)。星どうしがニアミスを起こすと、それによって熱が生じて沸騰し、その泡がはじけてクレーターができるとした説である。この説は興味深いのだが、観測という立場から見ると、弱点がある。もし、星が沸騰したのなら、はじけずに済んだ泡が一つぐらい見つかっても良さそうである。だが残念ながら、今のところ、そのようなものは見つかっていない。(とはいえ、これから見つかる可能性がないわけではないから、一笑に付すわけにもいかないだろう)。
 他に何かアイデアはないだろうか?
 そこで私が提案したいのが、『天体間放電説』である。
 こちらも、星どうしのニアミスで起こる点はヴェリコフスキー説と同じである。ただ違うのは、天体間で起こる放電によってクレーターが生じるという点である。放電によってサークルができる現象は、少しも珍しいものではない。地下鉄(電車)のトンネル内などで、いくらでも発見できる。
 私は、星(天体)というものを、『絶縁性の悪い発電器』と考えている。地磁気の存在は、それを証明するほんの一例にすぎない。したがって、星どうしがニアミスを起こせば、たちまち、その間で放電が起こることになる。そして、この放電により、サークル、すなわち、美しい真円に近いクレーターが生じるわけである。
 天体間放電が作り出す構造物は、クレーターだけではない。放電現象は、まるで大洪水のように、地上の構造物を破壊する場合も有り得る。
 また、放電の際に生じた熱によって、地上の岩石を融かし、それらを、まるで竜巻のように巻き上げることも、起こり得る。これには、重力や電気や磁気の作用が関係している。どろどろに融け、巻き上げられた溶岩は、やがて地上にバサッと落ちる。この時、連なったまま落ちれば、蛇行した地形ができるだろうし、ちぎれて水滴状になって落ちれば、ドーム型や円盤状の地形ができるだろう。こうして、様々な地形が形成されることになる。
 ちなみに、火星などでは、こうしてできたと思われる地形が、数多く見られるのだ。

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