雷発生メカニズムに関する異端論

 科学の定説によれば、雷は、雲の中で氷が撹拌され、氷どうしが衝突したり擦れ合ったりして生じた静電気が蓄積されて起こるのだという。
 しかし、この定説は本当に正しいのだろうか?
 まず疑問なのは、『氷どうしが衝突したり擦れ合ったりして、静電気が生じる』としている点である。確かに、微小な電気なら生じるかもしれない。しかし、それはほんの微々たるものだろう。そんなことで、あんなに大きな電気量が発生するのなら、猛吹雪の地上では、至る所で放電現象が発生するだろう。私は生まれも育ちも北国の雪国だが、未だかつてそのような怪現象にお目にかかったことはない。
 第二に、仮に運良く静電気が発生したとしても、それがどうやって蓄積されるのか、定説は説明していない。ちなみに、雲の中は、湿度100パーセントである。こんな場所では、静電気などすぐに放電してしまって、蓄積などされっこないはずだ。
 以上のことから、定説は全く胡散臭いものと言わざるを得ないのである。
 それでは、雷はどのようにして発生するのか?
 そこで、私が提唱するのが、『ローレンツ力説』である。それは、次のようなものである。
 空気というものは、実は頻繁に電離している。つまり、負電荷である電子と、正電荷であるイオンとに電離する。もちろん、何もしなければ、すぐにまた中性の物質に戻ってしまう。そこで、電離したときに電子とイオンを、元に戻れないほどに引き離してしまえばいい。それを実現してくれるのが、『ローレンツ力』なのである。ローレンツ力は、電荷が磁場を横切るときに生じる力で、正電荷と負電荷では、力の働く向きが逆なのである。
 つまり、こうだ。
 空気が上昇すると、地磁気の磁場を横切るため、ローレンツ力が働く。これによって、電子とイオンは、元に戻れないほどに引き離されるわけだ。
 ローレンツ力説では、さらに良いことに、電気の蓄積も説明できる。
 イオンは、質量が大きいため、ローレンツ力を受けても、あまりコースを曲げられない。加えて、体積が大きいため、上昇気流にあおられて、どんどん上の方へと押し上げられる。
 これに対し、電子は質量が小さいために、ローレンツ力によって、簡単にコースを曲げられてしまう。しかも、体積が小さいために、上昇気流にあおられにくい。このため、雲の下部に留まることになるのである。
 こうして、負電荷である電子と、正電荷であるイオンが、積乱雲の下部と上部とにそれぞれ分けられるのである。そして、積乱雲は、膨大な電気量を蓄えた巨大なコンデンサーとなるのだ。
 以上が、ローレンツ力説による雷発生のメカニズムである。
 ローレンツ力説では、上昇気流と共に、地磁気が大きな役割を果たしている。したがって、地磁気すなわち磁場の無い場所では、雷は発生しないことになる。この点が、科学的検証の大きなポイントとなるだろう。

【追記】

 ローレンツ力説には、もう一つの利点がある。それは、上昇気流の空気をプラズマ化することである。プラズマ流が複数存在すると、それらは縒り合わさっていく。これは、別に珍しい現象ではない。プラズマの専門家なら、誰でも知っている現象である。
 つまり、こうだ。プラズマ流と化した上昇気流は、縒り合わさり、巨大な渦を形成する。こうして、竜巻=トルネードが誕生する。
 竜巻の形成にプラズマが関与しているのではないかという説は、専門家の間でも真面目に議論されている。ローレンツ力説は、トルネード=プラズマ説に理論的根拠を与えるものといえる。

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