UMAについて

 UMAとは、本来、科学的には存在が確認されていない未知の生物という意味だが、一般的には、オゴポゴのような巨大水生生物を意味する場合が多い。この頁でも、こちらの意味で用いることにする。

 さて、UMAについては、プロの科学者の中にさえ、その存在を信じている人たちがいる。だが、私は、その存在に関して、全く悲観的である。その理由は、まず第一に、あれだけ巨大な生物であるもかかわらず、未だにその存在を確証する証拠が見つかっていないことである。そして、もう一つは、これはかなり突飛な指摘に思われるかもしれないが、糞などの老廃物が見つかっていないことである。あれだけ大きな生物なら、糞の量もかなりの量になるはずである。糞そのものが見つからなくても、糞によって水の成分濃度が変化するぐらいのことが検出されてもいいはずである。
 ということで、この頁では、誤認説の仮説を提唱しようと思う。その仮説とは、『水塊説』である。
 ちなみに、『水塊』という言葉は、私が勝手に作った言葉で、辞書には載っていない(と思う)。『水塊』とは、水の塊である。油の中に水をたらすと、水は油と混ざり合わずに、水滴のようにコロンと丸まって塊になる。これが水塊である。UMAの正体は、湖水中にできた水塊によるものである…とするのが、『水塊説』である。
 水中に水塊ができるなんてことが本当に起こり得るのかと疑問に思われるかもしれないが、条件次第では、水中でも水塊ができるのである。
 冷たい水に、熱いお湯を注ぐと、モヤモヤとした境界が見えることがある。これは、冷たい水と、熱いお湯とが、すぐには同じ温度にはならないために起こる現象である。
 湖水中にできる水塊も、これと同じである。水は、空気ほどではないが、それでも金属やガラスなどに比べると、熱伝導性が悪い。このため、同じ水どうしでも、温度が異なる水どうしが出会うと、境界ができてしまうのである。両者が同じ温度になるためには、対流などによって両者が混ざり合わねばならない。
 では、湖などでは、どうやって、こうした水塊ができるのだろうか?。
 湖には、湖底から水が湧き出ているものが少なくない。湧き出してくる水の温度が、湖の水の温度と異なっていると、湧き出してきた水の『水塊』が湖底に生じる。一般に、湧水の温度の方が、湖水の温度より高いので、『水塊』は浮上しようとする。
 ところが、湖水中に浮遊物などがあると、なかなか浮上できない。また、浮遊物は、水が混ざり合って同じ温度になることをも、妨害する。こうして、『水塊』は、湖底で大きさを増す。そして、ある大きさまで成長し、浮力が十分な大きさまで増すと、ついに湖水中の浮遊物を押しのけて、浮上を始めるのである。そして、これが水面にまで達した時、巨大な水の盛り上がりができるのである。
 おまけに、『水塊』が浮上する際には、湖底の土砂やら、ゴミやら、流木やら、浮遊物やらを、いっしょに巻き上げることになる。これらが、浮上した『水塊』によってできた水の盛り上がりに、飾り付けをすることになる。その様は、あたかも巨大水生生物のように見えるに違いない。これが、UMAと誤認されるわけである。

 さて、『水塊』は、水面の弱い部分をねらって浮上・進行してくる。水面にボートなどが浮かんでいると、その部分では表面張力が弱くなるので、『水塊』はその方へ寄ってくる。これに驚いて、ボートを走らせようものなら、水面に裂け目ができ、『水塊』はものすごいスピードで、ボートを追いかけてくることになる。
 実際、UMAに追いかけられてボートをひっくり返されたという報告例がある。『水塊説』は、この現象をも説明することができるのである。

 このように、『水塊説』は、UMA的現象の多くを説明できる。その方面の研究者の方は、ぜひ参考にしていただきたい。

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