第1章 概要

・仮想力線電磁気学の特徴

 仮想力線電磁気学は、基本的には、ファラデーの力線の理論を改良して作られた理論で
ある。ちなみに、マックスウェル電磁気学もファラデーの力線の理論を基にして作られた
理論である。それ故、仮想力線電磁気学は、従来のマックスウェル電磁気学と共通する部
分がある。
 もちろん、その一方で、まったく異なる部分もある。それは、仮想力線電磁気学が遠隔
作用理論であることに由来する。この点は、ファラデーの力線の理論とも異なる部分であ
る。つまり、仮想力線電磁気学は、ファラデーの力線の理論を、遠隔作用的なものに改良
して生まれた理論なのである。

 詳しいことは、これから順を追って説明することにして、まず、力線の理論で用いられ
る基本法則の式を見てみよう。
 最初は、クーロンの法則である。スカラー表示で記すと、

  F = (q・q)/(4πε・r)      (1・1)

  F = (m・m)/(4πμ・r)      (1・2)

となる。ここで、qとqは電荷、mとmは磁荷、εは誘電率、μは透磁率、rは距
離を表す。もっとも、磁荷というものはまだ発見されてはいないので、(1・2)式は、
今のところ考えなくていいだろう。

 さて、力線の理論において、もう一つ(二つ?)重要なのが、以下に示す電磁誘導(と
その逆の現象)の式である。

   = − ×         (2・1)

   ×          (2・2)

ここで、Eは電界、Hは磁界、Bは磁束密度、Dは電束、vは磁力線が横切る速度、vは電気力線が横切る速度を表す。ちなみに、EとD、HとBには、

  D = εE    (2・3)

  B = μH    (2・4)

の関係がある。
 この、電磁誘導(とその逆の現象)の考え方が、マックスウェル電磁気学と大きく異な
る部分である。この点については、第2章で詳しく語ることにしよう。

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