・見方を変えれば縦波にも見える
多くの書物では、電磁波の姿を描くものとして、下のような図が載っている。 または、 確かに、こういう図を見れば、電磁波(光)が横波であると思えてしまうだろう。だが、 よくよく考えてみれば、この図は誤解を招きやすい図である。というのは、波の進行とい う空間的なものと、電磁場の状態を示すグラフとが、ごっちゃになっているからである。 つまり、EやHは空間的な変位ではない。だが多くの人は、こういう図を見せつけられる と、それを空間的変位と勘違いしてしまう。もちろん、このおかげで、マックスウェル電 磁気学の初期の信者たちは、『光=横波説』を盲信する19世紀の光学の権威たちに、『 光=電磁波説』を説くことに成功したのであるが…。 仮想力線電磁気学では、このような紛らわしい表現はしない。電磁波も力線を用いて表 現する。それは、下図(図1としよう)のようになる。 ここで、y軸方向にのびているのが電気力線、z軸方向にのびているのが磁力線である。 これを見ると、力線の濃淡が描かれていることに気付くだろう。『濃淡』というのは、横 波の概念ではなく、縦波の概念である。このように見方を変えると、光(電磁波)は縦波 に見えるのである。 もちろん縦波といっても、物質を伝わる力学的な縦波とは、かなり様相の異なるもので ある。したがって正確には、 『光(電磁波)は、横波でも縦波でもない』 というのが無難だろう。あるいは、 『光(電磁波)は、横波と縦波の両方の特徴を有している』 といったところだろうか。 いずれにせよ、従来の『光=横波説』という固定観念は、捨て去らねばならない。