・電荷の運動と磁力線の振る舞い

 仮想力線電磁気学では、巨大加速器のように、クーロン力によって電荷の加速しようと
すると、光速度を超えることができないことも説明できる。そのことを示すための予備知
識として、ここではまず、運動する電荷によって生じる磁場の磁力線の振る舞いについて、
説明しておこう。
 まず、導線に電流が流れている状態を考えよう。この時、下図のように、導線のまわり
に磁場が生じる。つまり、導線を中心に磁力線の環が生じる。



 さて、仮想力線電磁気学では、磁力線は、電流すなわち電荷の流れの方向には動かず、
それと垂直の方向に動くとする。これは、力線の保存則から導かれることである。もし、
磁力線が電流の方向に動くのだとすれば、その磁力線は何処から来て何処に行くのかとい
うことが説明できなくなる。したがって、電流の方向には動かないとするのである。
 このことは、電流が変化して磁場の強さ、すなわち、磁力線の本数が変化する問題を考
えると、よりハッキリする。
 電流が減ると、磁場の強さ、すなわち、磁力線の数が減少するが、この時の磁力線の振
る舞いは、次のようになる。磁力線の環の直径が小さくなり、内側のものは無限小になっ
て、向かい合った磁場が打ち消し合い、導線に吸い込まれるように消滅する。こうして、
磁力線の本数が減少する。



 一方、電流が増すと、磁場の強さ、すなわち、磁力線の本数が増加するが、この時の磁
力線の振る舞いは、次のようになる。導線から、向かい合った磁場が打ち消し合うような
無限小の磁力線の環が次々と生まれ、直径を増して導線の周りの空間を埋め尽くしていく。
こうして磁力線の本数が増加する。



 このように、仮想力線電磁気学では、磁力線は、電流すなわち電荷の流れの方向には動
かず、それと垂直の方向に動くとするのである。このことを認識した上で、次の説明に進
んでほしい。

次ページへ

目次へ

inserted by FC2 system