・マックスウェル電磁気学と幾何光学の共通点

 仮想力線電磁気学のような遠隔作用では、作用を及ぼし合う物体間を結ぶ線分上以外の
場所の物質も、電磁気作用に影響を及ぼす。したがって、電磁波の場合も、光源と観測者
を結ぶ線分上以外の場所の物質も、電磁気作用に影響を及ぼす。
 これに対し、マックスウェル電磁気学のような近接作用では、光源と観測者を結ぶ線分
上の領域のことしか考えない。このため、先に述べた『太陽の近くでの光の曲がり』など
は、説明ができない。
 興味深いことに、この『光源と観測者を結ぶ線分上のことしか考えない』という考え方
は、幾何光学の考え方と同じである。幾何光学でも、太陽の近くを通る光の経路は、直線
として描かれてしまう。
 相対論はマックスウェル電磁気学を乱用して作られた疑似科学である。と同時に、幾何
光学を乱用して作られた疑似科学でもある。両者が、不思議と美しく調和している理由が、
これでおわかりになったであろう。多くの科学者が相対論の矛盾に気がつかないのも、こ
ういう点を考慮すると、無理もないように思える。

 それにしても、なぜ、かくも多くの科学者たちが、この『光源と観測者を結ぶ線分上の
ことしか考えない』という考え方に、疑問を抱かないのか?
 なぜ、そのような『特定の領域』しか考えないやり方に満足できるのか?
 その最大の理由は、電磁気学の勉強において、『平行板コンデンサー』のイメージが、
あまりにも強すぎるからだろうと思われる。
 平行板コンデンサーでは、下図のように、二枚の極板間のことしか考えなくて済む。



そこで、この考え方、すなわち、特定の領域しか考えないという考え方を、乱用するよう
になるわけである。
 いっておくが、極板間のことしか考えないというやり方は、あくまで近似的な解法であ
って、厳密な解法ではない。実際、コンデンサーでも、下図のようなコンデンサーでは、
そのような近似は全然成り立たない。



したがって、特定の領域しか考えない従来のやり方は、全く安直な疑似科学的解法といわ
ざるを得ないのである。
 それでは、なぜ、『平行板コンデンサー』のイメージが強いのだろうか?
 電磁気学は、目に見えないものを扱う学問である。そのため、力学などに比べると、抽
象的で、具体的なイメージが掴みづらい学問である。加えて、マックスウェル電磁気学の
場合は、高等数学がたくさん出てきて、面食らう。そんな中で、具体的イメージが掴める
問題、すなわち、実用的な応用問題として、最初に学ぶことになるのが、『平行板コンデ
ンサー』なのである。ここで、多くの学生たちは、電磁気学を理解できた(?)満足感に、
はじめて浸れるのである。そして、以降、特定の領域しか考えない解法を乱用するように
なるのである。

 マックスウェル電磁気学でも、静的な電磁場の問題では、作用を及ぼし合う物体間を結
ぶ線分上以外の場所の物質の影響を、ある程度だが考慮する。ところが、これが電磁波(
光)のような動的な電磁場の問題になると、全く考慮しなくなるのだ。この一貫性の無い
論理は、マックスウェル電磁気学の最大の欠陥の一つだ。マックスウェル電磁気学が元々
持ち合わせていた欠陥なのか? それとも、幾何光学からの干渉の結果なのか?
 いずれにせよ、特定の領域(光源と観測者、作用を及ぼし合う物体間を結ぶ線分上)の
ことしか考えない、従来の幾何光学的なやり方は、即刻、捨て去られなければならない。
また、このことは、光を『光線』すなわち『空間を進んでくるもの』とする、従来の概念
が誤っていることをも意味する。

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