・赤方偏移

 遠隔作用理論である仮想力線電磁気学では、作用を及ぼし合う物体間を結ぶ線分上以外
の場所の物質の分布も、誘電率・透磁率・屈折率に関係してくる。このため、遠くの星の
スペクトルが赤方偏移する現象、すなわち、ハッブルの法則も、電磁気学的現象として説
明できる。
 まず、下図を見ていただきたい。



ここで、黒丸は、スペクトルを観測しようとしている星以外の星や星間物質である。
 さて、このような巨視的なスケールの問題の場合、仮想力線電磁気学では仮想エーテル
による近似によって、疑似近接作用的な解析を行うことができる。その際、仮想エーテル
の誘電率・透磁率・屈折率は、光源と観測者を結ぶ線分上の物質の分布だけでなく、その
周囲の場所(厳密に言えば全空間)の物質の分布も考慮することによって、求められる。
そして、大ざっぱに言えば、光源や観測者に近い物質ほど、また、光源と観測者を結ぶ線
分に近い物質ほど、誘電率・透磁率・屈折率に大きな影響を及ぼす。
 以上のことを認識した上で、今度はより遠い星(A’)について考えてみよう。



この場合の仮想エーテルの屈折率を計算すると、先の星Aの場合よりも大きな値になる。
これは、Aに比べてA’の方が、相対的により多くの物質が、光源と観測者を結ぶ線分に
近いところに分布し、空間すなわち仮想エーテルより非真空的にしているからである。こ
のことを直感的に理解するには、縦横を二分の一に縮小した図を描いてみるとよい(下図)。



これを最初のAの図と比較すると、A’の方がより非真空的なものになっているのがよく
わかるだろう。
 さて、一方、スペクトル分布というのは、プリズムなどで光を屈折させて得る。これは、
波長により屈折率が異なることを利用するものである。波長の長い光(赤)ほど、屈折の
しかたが小さく、波長が短い光(紫)ほど、屈折のしかたが大きい。
 ここで気付かなければならないのは、屈折のしかたは、波長以外に、周囲の空間の屈折
率も関係してくるということである。周囲の空間の屈折率が大きくなると、屈折のしかた
が小さくなるのだ。これは、ちょうど光の波長が長くなった場合と同じである。
 ここまでくると、赤方偏移の原因がわかったであろう。すでに述べたように、遠い星ほ
ど、仮想エーテルすなわちプリズムのまわりの空間の屈折率が大きくなるために、光の屈
折のしかたが小さくなり、スペクトルが赤方へ偏移する。これが、『光の波長が伸びた』
と勘違いされてきたのである。
 このように、赤方偏移とハッブルの法則は、電磁気学的現象として説明できる。決して、
宇宙膨張によるドップラー効果を示すものではないのだ。

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