1.4.5 場の実在性

 よくよく考えてみると、特殊相対性理論が予言する超常現象、すなわち、長さの縮みと
か、時計の遅れとか、質量の増大という現象は、どれも遠隔作用的な現象であることに気
付く。これらの現象は、どれも『相対速度』によって算出される。一方、相対速度は距離
に関係なく定まる。つまり、どんなに離れていても、瞬間的に求まる。別の言い方をすれ
ば、所要時間を要さない。このため、上記の相対論的効果は、遠隔作用と同じく瞬間的に
生じる。
 こうしてみると、相対論は、近接作用のボロを隠すための屁理屈であることに気付くだ
ろう。
 すでに述べた『アスペの実験』も、遠隔作用なら説明できる。奇妙なことに、これを予
言した量子論(量子力学)は、もともと近接作用を前提とした理論である。したがって、
量子論もまた、近接作用のボロを隠すための屁理屈であることがわかる。
 それさておき、近接作用という教義が生み出した概念の一つに、『場の実在性』という
のがある。『場』とは、簡単にいえば、空間の緊張状態である。ここで例として、二つの
電荷の間に働く電気力を、場の理論によって説明しよう。
 まず、一方の電荷が空間を電気的に緊張させる。これが『電場』である。もう一方の電
荷は、この電場の中に置かれていることになる。そして、この空間の電気的緊張(すなわ
ち電場)によって力を受ける。これが電気力であると説明される。
 ちなみに、エーテル理論では、エーテルの緊張状態が、電磁場の状態と考えられていた。
 場の理論を、クーロンの法則の式を用いて説明すると、

   F=(q・q)/(4・π・ε・r)

において、

   E=q/(4・π・ε・r)

とすると、

   F=q・E

となる。このEが電場の強さ、すなわち電界である。
 『場の理論』は、マックスウェルによって、電磁力のように、離れた場所の間で働く力
を説明するために提唱された。アインシュタインも、当然、『場の理論』の信者であった。
だが、よくよく考えてみると、『場』という概念は、非常に空虚であることに気付く。と
いうのは、『場』は単位量(単位電荷、単位磁荷、単位質量、…)あたりに働く力にほか
ならないからである。式で示すと、よくわかるだろう。

  E=F/q

つまり、『場の理論』は、単位量あたりに働く力によって、力を説明する理論なのである。
これは何の説明にもなっていない。したがって、『場の実在性』も空虚と言わざるを得な
い。
 実を言うと、マックスウェル方程式が(すでに述べたような)矛盾を生じるのは、この
『場の実在性』のせいなのである。本当は実在しない電磁場を、実在性あるものとしてし
まうために、そこから次々と電磁場が誘導されてしまい、(ありもしない)電磁波が生じ
てしまうことになるのだ。
 もっとも、『場の実在性』を否定してしまうと、エーテル理論も、近接作用も、そして
マックスウェル電磁気学自身も崩壊してしまう。そうなれば、相対論も憤死する。それで
は困るので、相対論信者たちは様々な屁理屈をこねるのである。
 ちなみに、場の理論の究極の理論では、実在するのは『場』だけで、物質の存在は幻想
にすぎないのだという。ありもしないものの存在を信じると、こういう奇妙な結論に達す
ることになる。本当は、『場の実在』こそ幻想にすぎないのだ!

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