・力線の連続の式

 力線の連続の式は、力線に関する保存則から得られる。つまり、ある(微小)領域にお
ける力線の本数が増加するためには、その分だけ領域の外から力線が入ってこなければな
らない。また、力線の本数が減少するためには、その分だけ領域の外へ力線が出て行かな
ければならない。力線の本数は電磁場の強さを表すのだから、電磁場の増減は、力線の出
入りによって説明されることになる。そこで、このことを数式で表してみよう。
 下図のような直方体の微小領域ABCDEFGHを考える。



ちなみに、A(x、y、z)とすると、B(x+dx、y、z)、D(x、y+dy、z)、
E(x、y、z+dz)である。
 最初に、Z方向の電気力線について考える。そして、まず、この電気力線がx方向にの
み運動することを考えよう。ADHEから出入りする電気力線の数(電界)Eは、電気
力線の速度をvex(x)とすれば、

  E(x)・vex(x)・dy・dt

 同様に、面BCGFから出入りする電気力線の数は、

  E(x+dx)・vex(x+dx)・dy・dt

 したがって、Eの変位をdEとすると、

  dE(x)・dx・dy = E(x)・vex(x)・dy・dt
              − E(x+dx)・vex(x+dx)・dy・dt

よって、

  (dE(x)/dt)・dx = E(x)・vex(x)
                   − E(x+dx)・vex(x+dx)

ここで、

	E(x+dx) ≒ E(x)+(∂E(x)/∂x)・dx

	vex(x+dx) ≒ vex(x)+(∂vex(x)/∂x)・dx

なる関係を利用して、高次の微小量を無視して展開し、整理すると、

  (dE/dt)・dx = −(∂E/∂)・vex・dx
               −E・(∂vex/∂x)・dx

∴ (dE/dt) = −(∂E/∂x)・vex
               −E・(∂vex/∂x)

∴ dE/dt = −{∂(E・vex)/∂x}

この式から、 

∴ ∂E/∂t = −{∂(E・vex)/∂x}

同じようにして、この電気力線がy方向のみに運動するときは、

  ∂E/∂t = −{∂(E・vey)/∂y}

となる。したがって、x方向とy方向の両方の運動を考えるならば、

∴ ∂E/∂t = −{∂(E・vex)/∂x}−{∂(E・vey)/∂y}

となる。これがz方向の電気力線の連続の式である。

同様して、E、E、H、H、Hの式も求まる。それらを整理すると、

  ∂E/∂t = −{∂(E・vey)/∂y}−{∂(E・vez)/∂z}

                                  (4・1)

  ∂E/∂t = −{∂(E・vez)/∂z}−{∂(E・vex)/∂x}

                                  (4・2)

  ∂E/∂t = −{∂(E・vex)/∂x}−{∂(E・vey)/∂y}

                                  (4・3)

  ∂H/∂t = −{∂(H・vhy)/∂y}−{∂(H・vhz)/∂z}

                                  (4・4)

  ∂H/∂t = −{∂(H・vhz)/∂z}−{∂(H・vhx)/∂x}

                                  (4・5)

  ∂H/∂t = −{∂(H・vhx)/∂x}−{∂(H・vhy)/∂y}

                                  (4・6)

以上の6本の式が、力線の連続の式である。

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