・光は止まって見えるか?
次に、図1で示した一次元の電磁波を、(光源に対して)x軸の正の方向に移動する観 測者から見ると、どう見えるかについて考えよう。 ここで、移動する観測者の座標系を(x’、y’、z’)とし、移動速度をvとすると、 x’= x − v・t y’= y z’= z である。力線の理論の式は、 Ey’ = (vhx − v)・Bz Hz’ = (vex − v)・Dy ∂Ey’/∂t = −∂{(vex − v)・Ey}/∂x ∂Hz’/∂t = −∂{(vhx − v)・Hz}/∂x ここで、 Ey = Ey0・sin(ω・t − k・x) Hz = Hy0・sin(ω・t − k・x) とすると、 vhx = vex = c Ey = {(μ/ε)1/2}・Hz を考慮して、 Ey’= Ey0・(1−v/c)・sin(ω・t − k・x) Hz’= Hy0・(1−v/c)・sin(ω・t − k・x) よって、 x = x’+ v・t k = ω/c より、 Ey’= Ey0・(1−v/c)・sin{(1−v/c)・ω・t − k・x’} Hz’= Hy0・(1−v/c)・sin{(1−v/c)・ω・t − k・x’} となる。 これらの式からわかるのは、観測者が光源に対して運動すると、光(電磁波)の速度が 変わるということに加えて、光(電磁波)の強さも変わるということである。光源に向か って運動すれば光(電磁波)の強さは増す。逆に、光源から遠ざかるように運動すれば光 (電磁波)の強さは弱くなり、速度が光速度cではゼロになる。つまり、光と同じ速度で 運動しても、光が止まって見えることはないということだ! 以上のことを言葉で説明すると、次のようになる。 電磁波の電場は、磁力線が光速度cで横切ることによって生じる。また、電磁波の磁場 は、電気力線が光速度cで横切ることによって生じる。観測者が光源に対して運動すれば、 磁力線や電気力線を横切る速度が変わるので、それによって生じる電場や磁場の強さも変 わる。観測者が、磁力線や電気力線と同じ光速度cで光源から遠ざかるように運動すると、 磁力線や電気力線を横切らなくなるので、電場や磁場が生じなくなる。このため、電場や 磁場の強さはゼロになるのである。 このように、仮想力線電磁気学からは、観測者が運動すると、光(電磁波)の速度と強 さの両方が変化するという結論が得られのである。メスバウアー効果も、これにより説明 できるだろう。